先日、クライアントであるSIerと共に、AI分析技術の導入を検討中の新潟のとある企業を訪問しました。 私自身、工場視察するのは約3年ぶりのこと。現場の緊張感や、生産ラインを流れるモノの動きを目の当たりにすると、改めて日本にマザー工場として現場を残す価値を感じます。
先方の工場責任者の方とお話しする中で、一つの課題が見えた気がします。それは、「AIが生産性向上に具体的にどう寄与するのか」というイメージが、まだ現場レベルでは曖昧であるという点。
現在、スタートアップを含め多くの企業が製造業向けAIソリューションを展開していますが、その多くがまだ「事務作業の効率化」や「単純作業の自動化」といった、部分的な範囲の提案に留まっている印象です。残念ながら、複雑な製造現場のコアなプロセスに踏み込み、具体的な未来像を描けている提案は少ないようです。
AIによって生産プロセスがどう進化し、それが最終的に現場にどのようなメリットをもたらすかを私の方からも説明し、先方の責任者の方に「腹落ち」して頂きました。
今後、AIは、人間が従来対処しきれなかった複雑な業務プロセスをフォローし、判断や操作における人のストレスを大幅に軽減する存在になるはずです。但し、技術は常に両刃の剣です。どんなに優れたAI技術も、それを使う「ヒトの意識」次第で、薬にも毒にもなり得ます。
技術の進化を正しく理解し、AIと共創することで、これまで以上に安全で、ストレスが少なく、生産性の高い現場を作り上げていく。製造業の未来は、この「意識変革」にかかっていると強く感じた次第です。

